【週刊ぽるねむ #5】アメックスの革命返し

クレジットカード 週刊ぽるねむ

米国ですでに発行されていたアメックス・プラチナのメタルカードが、ついに日本でも発行されることが発表されましたね。

アメックス・プラチナのメタルカードは、2018年の10月15日から新規発行開始。

既存会員は順次送られてくる切替申込書を返送することによって、切替ることになります。

金属製のカードと言えばラグジュアリー・カードという認識が一般的ですが、アメプラのメタルカードは、ラグジュアリーカードと違って「カード番号がカードの後ろ側にある」という独自性があります。
これにより、一層スマートな券面に仕上がっていますね。

(金属製カードの元祖はアメックス・センチュリオンのチタンカードですが、発行枚数が少なすぎてあまり知られていません。)

私もメインカードはアメックス・プラチナですし、メタルカードの日本上陸を渇望していた一人です。一刻も早くメタルカードでドヤりたい。あぁドヤりたい。

ただ、私が最も注目したいのはアメックス・ゴールドもメタルカードが発行されることになったことです。(今のところ米国だけで発行開始)

この出来事はアメックスの「革命返し」なのではないかと私は推測します。

「革命返し」をしたということは、それ以前に「革命」があったということ。

今週は、「金属製のアメックス・ゴールド発行がなぜ革命返しなのか」という話をしてみたいと思います。

(私はアメックスの社員ではないのであくまで推測です)

1.先に革命を起こしたのはアプラス

まずクレジットカード界に革命を起こしたのはアプラス。
つまりラグジュアリー・カードです。

なぜなら、これまでアメックスが作ってきたグレードの順番をひっくり返してしまったからです。

世間一般におけるクレジットカードのグレードの認識は
1位:ブラックカード
2位:プラチナカード
3位:ゴールドカード
となります。

そして、ラグジュアリーカードがこの順位をひっくり返しました。

ラグジュアリーカードでのランキングは
1位:ゴールドカード
2位:ブラックカード
3位:チタンカード
となります。

しかもラグジュアリーカードは順位を変えるだけでなく、金属製のカードまで発行しました。

これにより、クレジットカードのことをよく知らない人の認識は

1位:金属製カード
2位以下:その他
となってしまいました。

ただアメックス・センチュリオンも日本に限り、金属製のチタンカードが発行されています。

この程度なら「センチュリオンは最高級である」という認識は揺るがないと思いきや、実はそうでもありません。

厄介なことに、カードに詳しくない方のアメックスへの認識は以下の様になります。

1位:チタンカード
2位:ブラックカード
3位:プラチナカード
4位:ゴールドカード

アメックスのチタンカードは、日本に住むセンチュリオン会員なら発行できるので、ブラックとグレードの差はありません。

それでも、クレジットカードをよく知らない方の中には「アメックスはブラックよりもチタンの方が上」というように認識してしまっている方が一定数います。

その結果、世間一般のカードの順位に対する認識は
1位:金属製のゴールドカード(ラグジュアリー・ゴールド)
2位:金属製のブラックカード(ラグジュアリー・ブラック)
3位:金属製のチタンカード(ラグジュアリー・チタンとセンチュリオンのチタンカード)
4位以下:プラスチック製のカード
となってしまいました。

ラグジュアリー・カードの最下位のカードをプラチナやプレミアムとしてではなく、あえてチタンという名を冠したのは、この様にセンチュリオンのイメージを落とすためだったのではないかと私は推測します。

これが、アプラスが行った最初の革命です。

2.金属製アメックス・ゴールドという鬼手

このままやられっ放しでいいんすかアメックスさんよぉ

と、思っていた矢先に金属製のアメックス・プラチナ・カードが米国で発行されました。

最初は私も「メタルカードきたー!早く日本でも発行してくれー!」ぐらいのノリでしか考えていませんでした。

そして、およそ1年後に金属製アメプラの日本上陸が発表。狂喜乱舞。

さらに何日もしない間に、米国で金属製のアメックス・ゴールドの発行開始のアナウンスがありました。

この一手には、私も驚かされました。

何故なら、これにより金属製カードの希少性が相対的に下がってしまったからです。

米国の実情はわかりませんが、日本ではアメックス・ゴールドの審査難易度は決して高くありません。

現在、日本で発行されている金属製カードはアメックス・センチュリオンとラグジュアリーカードのみで、そこに今回アメックス・プラチナが加わる形になりました。

センチュリオンはご存知のとおり雲上カードですし、ラグジュアリーカードは最下位のチタンカードからして、高級カードのブランディングを徹底しています。

これにより「金属製のカード=高級カード」という図式が成り立っていました。

そして今回金属製カードに加わるアメックス・プラチナも、高級カードの中では発行のハードルは高くない方ですが、年会費の高さやインビテーション制を取っていることから、希少性の高いカードと捉えることは充分に可能です。

さらに、前述したアプラスの革命の中でも「金属製のプラチナカード」のポストは空いているので、金属製のアメックス・プラチナは唯一無二の存在でした。

しかし、アメックス・ゴールドの場合は完全に立ち位置が変わってきます。
重複しますが、アメックス・ゴールドの審査はラグジュアリー・カードのチタンと比べても、はるかに優しいのです。

もちろんアメックスは基本1回払いのカードなので、当面の支出を先送りしたいがために闇雲にカードを発行しようとするような人が持つカードではありません。
年会費も3万円近くしますし。

直接申し込まなくても、私の経験上、アメックス・グリーンを50万円ぐらい使えば1年も経たずにゴールドのインビテーションが送られてきます。

せっかく金属製アメプラの登場によって、金属製に飢えているプラチナ会員を獲得するチャンスだったのに、なぜ「ゴールドでいいや。年会費も安いし」という妥協案を作ってしまったのか。

しかも「アメックス・ローズゴールド」まで発行する始末。必死にグリーンからプラチナまで育てた私でも、ダウンコンバージョンしてローズゴールドにしようかなと思ってしまうほどのカッコよさ。

なぜなのアメックス?という状態でした。

しかし、一見安易な金属製カードのばら撒きに見えるアメックス・ゴールド投入こそが、一度アプラスがひっくり返したステータスの順位を、あるべき姿に戻す、アメックスによる鬼の一手だったのです。

3.アメックスの革命返し

普通に考えたらアメックスの金属カード投入は、プラチナだけで充分です。

世間一般の認識では「金属製カード=高級カード」なのですから、金属製カードが欲しい人は年会費税込140,400円のプラチナ会員に入らざるを得ない状況になります。

年会費による収益が増えるのはアメックスにとってもありがたい話のはずです。

しかし、これだけではアプラスがひっくり返した順位、もといセンチュリオンがチタンカード扱いされている問題が解決していません。

そこで、アメックスは高級カードではないアメックス・ゴールドまでも金属製にしてしまいました。

するとどうなるか。

「金属製のゴールドカード」の高級感を薄めることになります。

どういうことかと言うと、金属製のアメックス・ゴールドの登場によって「金属製のゴールドカード」が街に溢れる様になります。

すると、世間一般では「金属製のゴールドカードすげー!」だったのが、「みんな持ってるじゃん」になります。

そして
「じゃあ本当にすげぇカードは何カードなんだ!」
「金属製カードが凄いのは確か。でもゴールドはみんな持ってる。その上はプラチナ。更にその上はブラックらしい。チタンとかあるらしいけどよくわからないぜ」
と、こうなります。

つまり、アメックスとラグジュアリーカードの世間一般での認識がこう入れ替わるわけです。

1位:金属製のブラックカード(センチュリオンとラグジュアリー・ブラック)
2位:金属製のプラチナカード(アメックス・プラチナ)
3位:金属製のゴールドカード(ラグジュアリー・ゴールドとアメックス・ゴールド)
4位以下:その他のプラスチックカード

こうして見事センチュリオンが1位に返り咲きました。そしてプラチナもちゃっかり2位にぶっこみました。

ラグジュアリーカードのブラックの取得難易度は、センチュリオンに比べたら遥かに容易ですが、充分希少な高級カードであることに変わりはありません。
なので世間一般からして、その順位がセンチュリオンと並んでしまってもアメックスとしては何も問題はないと言えます。

一方、ラグジュアリーカードのゴールドは、センチュリオンに次いで取得難易度の高い超高級カードでありながら、アメックス・ゴールドと混合される憂き目に合うことになります。

このように、アメックスは金属製のアメックス・ゴールドを投入することによって、アメックスが長い年月をかけて築いたステータスカードの順位をあるべき姿に戻そうとしました。

これが、アメックスが行った革命返しです。

(くどいようですが、私はアメックスの社員ではないのであくまで推測です)

まとめ

まだ金属製のアメックス・ゴールドが普及されるには時間がかかります。

日本では金属製のアメプラですら手元に届くのは来年らしいですからね。

この出来事が、実際にどういう展開を生むのかはその時になるまでわかりません。

今から楽しみですね。

早くメタルカードの切替申込書来ないかな…

というわけで、今週は「金属製のアメックス・ゴールド発行によって、クレジットカードのランクはあるべき姿に戻った」というお話でした。